2026/06/10
ヒアルロン酸注射は痛い?施術中・施術後の痛みと対処法を解説

ヒアルロン酸注射は手軽に受けられる美容医療として人気ですが、「注射は痛いのでは?」と不安に感じる方は少なくありません。結論から言うと、ヒアルロン酸注射の痛みは強いものではないケースが多いものの、部位や体質によって感じ方に差があります。本記事では施術中の痛みの特徴から、術後の違和感、さらに痛みを軽減する具体的な方法まで専門的にわかりやすく解説します。
この記事の監修医師

ツツイ美容外科 院長 筒井 康文
日本美容外科学会(JSAS)専門医。1988年に大阪・心斎橋で開院以来、37年以上にわたり美容医療に従事。「本当に必要な治療だけを提供する」を信念に、直近7年間で1,149件のヒアルロン酸治療に携わる実績豊富な医師。2024年~2025年においては、年間250件以上を手掛けるなど、高い技術力と信頼を得ている。
※ヒアルロン酸施術件数内訳:2019年94件/2020年129件/2021年116件/2022年100件/2023年196件/2024年256件/2025年258件
ヒアルロン酸注射は痛い?施術中の痛み
ヒアルロン酸注射の痛みの中でも最も気になるのが、施術中の感覚です。注射と聞くと強い痛みを想像しがちですが、実際はチクッとした刺激や圧迫感程度であることが多いです。
ヒアルロン酸注入で痛みが生じる理由は、大きく分けて2つあります。一つは「針が皮膚を貫通する際の刺激」、もう一つは「注入された粘性の強い薬剤が組織を押し広げる際の圧力(膨張圧)」です。特に後者の圧力による痛みは、注入速度が速いほど強くなる傾向があります。

また、顔面には神経が密集している部位(口元や目の周りなど)があり、そういった部位へは特別な配慮をすることが、痛みのコントロールには不可欠です。近年では、これらの痛みを最小限に抑えるために、以下のような医学的アプローチが一般的になりつつあります。
痛みの不安に寄り添う注入技術
当院では、痛みを感じにくい層(骨膜上や皮下組織)への的確なアプローチを徹底しています。痛みは『針を刺す時』よりも『薬剤が入る時の圧力』で生じることが多いため、非常にゆっくりとした速度で注入することで、組織への刺激を最小限に抑えています。
また、使用する薬剤や麻酔方法にも独自のこだわりを持っています。
- 麻酔成分配合の製剤を採用 世界的にシェアの高い「ジュビダームビスタ®」シリーズなど、リドカイン(局所麻酔剤)が配合された製剤を使用しています。注入の1回目は多少の刺激がありますが、同じ部位に2回、3回と分けて注入を進めることで、麻酔が組織に浸透し、次第に痛みが軽減されていくのが特徴です。
- 「事前麻酔」による徹底したリスク管理 一般的には製剤に含まれる麻酔のみで済ませることも多いですが、当院ではあらかじめ事前の麻酔を標準化しています。これにより、最初のひと刺し目の痛みを抑えるだけでなく、麻酔に含まれる血管収縮剤の働きで血管を細くし、内出血や血管塞栓(血管が詰まるリスク)を最小限に留める工夫をしています。

ヒアルロン酸注射の痛みの感じ方
ヒアルロン酸注射の痛みは、「針を刺す瞬間の刺激」と「注入時の圧迫感」に分けられます。特に注入時は、皮膚の下に薬剤が入るため、軽い押されるような感覚を伴います。
また、施術時間は数分〜10分程度と短いため、強い苦痛を感じる前に終わるケースがほとんどです。実際には「思っていたより痛くなかった」と感じる人も多く見られます。
- イメージとのギャップ: 多くの患者様は「鋭い痛み」を想像されていますが、実際には深い場所(骨膜上)への注入時に感じる「鈍痛」や、組織が広がる際の「ムズムズする違和感」に近いと表現される方が多い傾向にあります。
- 部位による配慮: 額や唇など、神経が敏感な部位は痛みを感じやすい傾向があります。そのため当院では、額などは特にカニューレ(先端の丸い管)を用いて、皮膚の下で広範囲に麻酔を浸透させてから注入を行う独自のプロトコルを採用しています。
- カニューレによる低侵襲な処置: 最初に一箇所だけ麻酔をして小さな入り口を作り、そこから先端の丸い「カニューレ」を通します。何度も針を刺す必要がなく、カニューレ自体で麻酔を広げながら進むため、皮膚へのダメージと痛みを最小限に抑えられます。

痛みは緊張によって増幅されるため、当院では注入のタイミングに合わせて定期的にお声がけをし、呼吸を整えていただくことで、身体的な痛みだけでなく精神的なストレスも軽減できるよう努めています。医師としては、痛みに対する不安を「仕方のないもの」と切り捨てず、その不安に寄り添い、処置の全工程で痛みをコントロールすることが重要だと考えています。
痛みを感じやすいケースと個人差
ヒアルロン酸注射の痛みは個人差が大きく、同じ施術でも感じ方は異なります。特に痛みを感じやすいのは以下のようなケースです。
・皮膚が薄い部位への注入
・緊張や不安が強い場合
・もともと痛みに敏感な体質
また、前日のアルコール摂取は血流を促し、痛みに過敏になったり内出血が出やすくなったりする原因となるため、控えるようにしてください。体調やホルモンバランスによっても痛みの感じ方は変わるため、不安が強い時は無理をせず、リラックスした状態で施術を受けられるよう、お気軽にスタッフへご相談ください。

ヒアルロン酸注射後の痛みや違和感
施術後にも痛みを感じることがありますが、多くは一時的なものです。適切な経過を理解しておくことで、不安を軽減できます。

ヒアルロン酸が「馴染む」プロセスの正体
ヒアルロン酸はプロテーゼ(人工軟骨)のような固形物ではなく、自身の組織と徐々に一体化していく性質を持っています。注入直後は水分を吸収して一時的に「ぷくっ」とした膨らみや硬さを感じることがありますが、時間が経つにつれて周囲の組織に馴染み、自然な柔らかさへと変化していきます。
日常生活での注意点(NG行動)
血流が良くなりすぎると、腫れや痛みが強く出たり、内出血が長引いたりする原因となります。施術後2〜3日は以下の行動を控え、安静に過ごすことをおすすめします。
- 長風呂・サウナ(シャワーは当日から可能です)
- 激しい運動
- 過度の飲酒

施術後の腫れ・圧痛の期間
施術直後から数日間は、軽い腫れや押すと痛む圧痛が出ることがあります。これは注入による自然な反応であり、通常は2〜3日程度で落ち着いていきます。
部位によっては1週間ほど違和感が続く場合もありますが、日常生活に支障が出るほどの痛みになることは少ないです。
内出血や違和感が続く期間
内出血が出た場合は、1〜2週間程度で徐々に消えていきます。また、触れたときの違和感や軽い硬さを感じることもありますが、時間の経過とともに自然に馴染んでいきます。
ただし、強い痛みや腫れが長期間続く場合は、医師に相談することが重要です。
術後の痛みには「様子を見て良いもの」と「すぐに連絡すべきもの」があります。

万が一、施術部位が白っぽく変色し、拍動するような激しい痛みがある場合は、血管塞栓(血流障害)の初期症状の可能性があります。これはヒアルロン酸が血管内に入り込み、血流を止めてしまう重大な合併症です。
当院ではこのリスクを徹底して防ぐため、以下の安全対策を講じています。

- ・ カニューレの使用: 先端の丸いカニューレは、鋭利な針に比べて血管を傷つけるリスクが格段に低くなります。
- ・ 逆血確認の徹底: 注入の際、シリンジを一度引き、血管内に針が入っていないか(血が戻ってこないか)を毎回確認しています。
- ・ 即応体制: 万が一に備え、ヒアルロン酸を即座に分解する溶解剤を常備しています。夜間や休日でも、万が一の事態に備えた連絡体制を整え、安全を第一に診療を行っています。
部位によって痛みは違う?ヒアルロン酸注射の痛み比較
ヒアルロン酸注射の痛みは、注入する部位によって大きく異なります。事前に違いを理解しておくことで、施術のイメージがしやすくなります。

痛みを感じやすい部位(唇・鼻・額)
唇や鼻、額は、顔面の中でも特に神経が豊富だったり、骨と皮膚の距離が近かったりするため、比較的痛みを感じやすい部位です。
- ・ 唇: 非常に繊細な部位のため、チクッとした刺激を強く感じやすいのが特徴です。
- ・ 鼻: 骨に近い層へ薬剤を注入するため、特有の「グーッと押されるような圧迫感」を伴う痛みが生じることがあります。
- ・ 額・こめかみ: 注入範囲が広いため、必然的に処置の時間も長くなります。当院では、最初の1点にのみ麻酔をしてから、先が丸い「カニューレ」で麻酔液を広げていくため、何度も針を刺す苦痛を解消しています。
比較的痛みが少ない部位(ほうれい線・フェイスライン)
一方で、ほうれい線やフェイスラインは皮膚に厚みがあり、比較的痛みを感じにくい部位とされています。施術中も違和感程度で終わるケースが多いです。
そのため、初めてヒアルロン酸注射を受ける方は、こうした部位から始めることも選択肢の一つです。
ヒアルロン酸注射の痛みを減らすためのポイント
ヒアルロン酸注射の痛みは、施術方法や工夫によって大きく軽減できます。ここでは具体的な対策を紹介します。
後悔しない施術のために、カウンセリングや公式サイトで以下の項目をチェックしてみましょう。

痛みをおさえるための追加の工夫
クリニック側の対策だけでなく、ご自身のちょっとした心がけでも痛みの感じ方は変わります。
- ・ リラックスして施術を受ける 「痛いかも」と強く緊張して体が強張ると、筋肉が収縮して針が通りにくくなり、痛みを感じやすくなります。当院では注入中にお声がけをし、呼吸を整えていただくことで、精神的な緊張からくる痛みの増幅を防いでいます。
- ・ 当日のコンディションを整える 寝不足や疲れが溜まっているときは、普段より痛みに敏感(過敏)になりがちです。
- ・ 前日のアルコールは控える お酒を飲むと血流が良くなりすぎ、痛みの増幅や内出血のリスクを高めます。前日は飲酒を控え、万全の体調で臨むことが、結果として楽な施術につながります。
マイクロカニューレや極細針の効果
近年、ヒアルロン酸注入における「痛み」と「内出血」を劇的に抑えたのが、マイクロカニューレや極細針の登場です。
- ・ 組織を傷つけない「丸い先端」: 一般的な鋭利な針は、進む方向に血管や神経があるとそのまま貫通してしまいますが、先端が丸い「マイクロカニューレ」は、組織を押し広げるように進みます。そのため、血管や神経を傷つけるリスクが極めて低く、施術中の不快感や術後の内出血を大幅に軽減できます。
- ・「たった一回の刺入」で広範囲をカバー: 鋭利な針で何度も刺し直す手法と異なり、カニューレは一度の入り口から広範囲に薬剤を届けることができます。何度もチクッとする痛みを感じる必要がないため、精神的な負担も軽くなります。
クリニックによってこれらの器具の採用状況は異なります。痛みへの配慮を重視するなら、マイクロカニューレを標準的に使用しているかを確認すると安心です。

▲マイクロカニューレを用いたヒアルロン酸注入の様子
医師の技術とクリニック選びの重要性
ヒアルロン酸注射の痛みは、医師の技術力だけでなく、「一人ひとりの患者様にどれだけ時間をかけ、丁寧に向き合っているか」によって大きく変わります。
検索サイトで「症例数」を売りにするクリニックは多いですが、単に数をこなしていることが必ずしも「痛くない」ことや「技術の高さ」に直結するわけではありません。
「痛み」をコントロールするのは解剖学と丁寧な手技
ヒアルロン酸注入の痛みを最小限に抑えるためには、顔全体の解剖学的な理解と、組織の反応を見極める繊細な感覚が不可欠です。
- ・「流れ作業」ではできない痛みの配慮: 短時間に多くの患者様をこなすスタイルでは、どうしても注入速度が速くなりがちです。しかし、痛みは「薬剤が組織を押し広げる圧力」によって生じます。当院では、組織の抵抗を指先で感じながら、極めてゆっくりと愛護的に注入を行うことで、この圧迫痛を最小限に抑えています。
- ・ パーツではなく「顔全体のバランス」を見る: 特定のパーツ(溝やシワ)だけに注目して大量に注入するのではなく、お顔全体の骨格や筋肉の動きを分析した上で、最適な「層」へ適量を配置します。適切な層へのアプローチは、余計な組織損傷を避け、結果として施術中・施術後の痛みを減らすことにつながります。
信頼できるクリニック選びの基準:恐怖心を安心感に変える
痛みは、精神的な緊張(恐怖感)によって増幅される性質があります。「この先生は丁寧に診てくれている」という安心感こそが、最大の鎮痛剤となります。 ヒアルロン酸注射において、私が最も重視しているのは『患者様とのリズム』です。注入中に患者様の表情や呼吸の変化を細かく観察し、痛みを感じている兆候があれば即座に注入を止め、冷却や止血、お声がけを行います。
年間数千件といった数字上の症例数よりも、『目の前の一人を、どれだけ解剖学的な根拠を持って精密に仕上げたか』という質の積み重ねが、痛みの少なさと仕上がりの美しさを両立させます。

まとめ|ヒアルロン酸注射の痛みは工夫で軽減できる
ヒアルロン酸注射の痛みは、施術中・術後ともに軽度であることが多く、適切な方法で十分に軽減可能です。特に部位や体質による差を理解し、自分に合った施術を選ぶことが重要です。
また、痛みへの不安を減らすためには、事前のカウンセリングでしっかりと説明を受けることが大切です。信頼できる医師と相談しながら進めることで、安心して施術を受けることができます。
これからヒアルロン酸注射を検討している方は、痛みだけで判断するのではなく、技術力や実績も含めて総合的に判断しましょう。まずはカウンセリングで不安を解消することが、満足度の高い結果につながります。
監修者からのメッセージ

「ヒアルロン酸注射の痛みが怖い」という不安を解消するために必要なのは、最新の器具や麻酔だけでなく、「医師があなたの顔の状態をどれだけ深く理解し、丁寧に手を動かしているか」という点です。価格や症例数といった表面的な数字だけでなく、カウンセリングでしっかりとリスクと対策、そしてあなたに合ったデザインを提案してくれるクリニックを選んでください。
【監修医師プロフィール】
筒井 康文(つつい やすふみ)
- 医療法人 ツツイ美容外科 院長
- 日本美容外科学会 専門医
- 日本美容皮膚科学会 会員
- アラガン・ボトックスビスタ認定医/ アラガン・ジュビダームビスタ認定医
昭和60年 佐賀医科大学(現 佐賀大学)医学部卒業。大手美容外科での勤務を経て、昭和63年「ツツイ美容外科」を開院。
