ワキガは、正確には「臭汗症（しゅうかんしょう）」「腋臭症（えきしゅうしょう）」という名前の症状。わきから発せられる強いにおいが特徴です。

ワキガの原因になっているのは、わきに集中している「アポクリン汗腺」。この汗腺が活発に働くことが原因になっています。わきは汗をかきやすい場所ですが、通常の汗は「エクリン汗腺」から分泌されるものです。エクリン汗腺からの汗は、汗臭くなることはありますが、ワキガ特有のにおいにはなりません。それではなぜ、アポクリン汗腺の汗は強いにおいになってしまうのでしょうか？

アポクリン汗腺から分泌された汗ににおいがあると思いがちですが、実はアポクリン汗腺から出た汗自体にはにおいがありません。ただし、この汗には、尿素・アンモニア脂肪・鉄分・色素・蛍光物質などの成分が含まれていて、粘り気のある乳白色がかった汗です。空気に触れると変質しやすい性質も持っています。

強いにおいになってしまうのは、皮膚上にある皮脂腺から分泌される脂肪分や、エクリン汗腺から分泌される汗が混ざり、それが皮膚や脇毛の常在細菌に分解されることが原因と考えられています。

アポクリン汗腺は脇毛とも密接に関係していて、脇毛が濃い人はワキガの可能性が高い傾向にあります。アポクリン汗腺はフェロモンを発生させる器官とも言われていて、脇毛はこのフェロモンを効率的に伝えるために進化したという説もあるほど。脇毛はワキガのにおいをを脇に留める働きも持っているのです。

ワキガは、赤ちゃんや幼児の頃には発症しない症状です。それは、ワキガの要因であるアポクリン汗腺が思春期の頃（第二次性徴）に発達し、活動を始めるため。多感な時期に発症してしまうので、思い悩む人が多いことでしょう。

ワキガの発症には遺伝も関係していて、両親や祖父母がワキガを発症していると子どもも発症する可能性が高いと考えられています。しかしながら、日本人（モンゴロイド人種）は、ほかの人種の人たちに比べるとワキガを発症する人が少なく、10人～20 人に1人程度の割合と言われています。日本人は発症する割合が低い分、発症した人にとっては深い悩みになりやすいことが想像できますよね。

ワキガの悩みを解消するには、病院で治療を受けることが一番の近道になります。「周りの人に、においで不快な思いをさせているのでは…」と悩んでいる人は、勇気を出して病院に行くことをおすすめします。近年は、わきに傷が残らない治療法もあるので、まずは美容外科で相談してみましょう。

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