二重まぶたにする手術は、大きく分けて糸を埋め込むだけの埋没法と、切開して余分な脂肪や皮膚を取る切開法があります。ここでは、埋没法についてご説明いたします。
埋没法には手術方法が異なる挙筋法と瞼板法があります。

挙筋法 (埋没法)
挙筋法とは
上まぶたをあげる筋肉である上眼瞼挙筋(正確には、挙筋前葉のアポニューローシスと挙筋後葉のミュラー筋)に皮膚からの糸を結びつけて二重を作る方法です。本来の二重まぶたの構造からすると、瞼板法より挙筋法の方が生まれながらの二重まぶたに近いつくりをしています。


生まれながらの二重まぶたの場合は、目を開ける時、上眼瞼挙筋が収縮して短くなって、上まぶた全体を持ち上げます。その際、挙筋から二重まぶたの皮膚までのびている枝が引き上げられて、二重の溝が作られます。
挙筋法では、生まれながらの二重まぶたと同じような力の伝わり方をしています。
つまり挙筋から出ている枝のかわりに糸がその役割をしていることになります。
瞼板法では、挙筋からの力が一旦、瞼板に伝わって瞼板から糸を介して二重まぶたの皮膚まで伝わっています。
挙筋法パターン


瞼板と違い結膜はやわらかい組織なので、年月が経てば、結膜内に糸が食い込み、見えなくなることが多いが、糸が出たままになることもある。結膜に炎症を起こしやすく、目ヤニやコロコロした異物感を生じやすい。結膜にゆがみを生じやすく、肉芽を形成することもある。

結膜面の針の穴からうまく針を通し返せていないと、結膜に多少のゆがみを生じることもあるが、肉芽を形成することはない。

切開法の糸のとめ方に似ているが、切開していないため表に出ている糸の端から端までの距離が長くなり、目を閉じた時、糸が目立ちやすくなる傾向がある。糸のひっかけが浅く、挙筋に十分届いていないと二重が弱かったり、とれやすくなる。

私は20年程前に1年位の間、瞼板法で二重の手術を行っていた時期がありました。
その当時、二重のラインが薄くなったり、とれたりする患者様が続出して大変なことになった経験があります。それ以来、瞼板法で二重まぶたの手術は行っていません。
挙筋法も二重のラインがとれないということはありませんが、瞼板法よりとれる割合は、はるかに少ないです。挙筋法のメリットは、二重がとれにくいことです。私の行っている挙筋法は、まぶたの裏側に糸が出ませんので眼球を傷つける危険性がほとんどありません。また無理やり強く締めつけるようなことはしないので上まぶたにかかる負担も少なく目に優しい埋没法と言えます。
万一、抜糸する場合は、抜糸しやすいこともメリットになります。
デメリットは、技術的なものに限ります。つまり糸を結ぶ強さの加減が要求されたり、まぶたの裏側に糸が出ないような処理技術が必要になります。
手術方法
デザイン
ご希望の二重のラインが左右対称になるように十分な時間をかけてデザインします。
糸の留め方は基本的には2ヵ所固定の6点留めで行っています。
しかし、上まぶたの状態は、年齢によってたるみの量が違ったり、まぶたの皮膚の厚さや、脂肪の量、眼裂の大きさ、蒙古ひだの強さ、上眼瞼挙筋の筋力の強さなど一人一人全て異なります。
どのような患者様にも同じ方法で良いというわけにはいきません。
たるみが多かったり、平行型を御希望の場合は3ヵ所固定の6点留めで行なったり、その他の亜型としては2ヵ所固定4点留め、2ヵ所固定5点留めなど、その人のまぶたの状態やくせの状態また筋力に応じて最もふさわしいものを、経験による勘で判断して施行しています。以上の選択は、術中に変更することもあります。
その場合は、なぜ変更する必要があるのか、脂肪が多いのか、たるみや筋力の左右差があるのか、くせが強いのか等を きちんと説明してからおこないます。
場合によっては、最初のデザインの幅を変えなければならないこともあります。
全ては、型どおりのやり方ではなく、患者様に最高の技術を提供し、満足していただける二重まぶたにするためなのです。

2ヵ所固定4点留め

3ヵ所固定止6点留め
(たるみが多い場合や平行型)
2ヵ所固定5点留め

2ヵ所固定6点留め
麻酔
少しでも麻酔が痛くならないように工夫しています。
- 32Gという一番細い針を使用
- 点眼麻酔薬を使用
- 酸度(ペーハー)を調整した麻酔液を使用
- 皮膚の抵抗が少なくなるよう刺入
手術の痛みは誰でも不安だし嫌なものです。
精神的に緊張していると、少しの痛みでも何倍も強く感じてしまいます。

数字が大きくなるほど針が細くなります。
当院では、精神的緊張をやわらげるため、待合室は明るい色調で熱帯魚や観葉植物を置いています。 局所麻酔に関しては32Gという一番細い針を使用し、直線的に皮膚に針を刺すことをせずに、皮膚の抵抗が少なくなるように刺入、麻酔液の注入も時間をかけて少量ずつ行います。患者様の意識がまぶたに集中している分、非常に神経を使う瞬間です。他院で手術をされて当院の埋没法を受けられるほとんどの方が以前より痛みが少ないのに驚かれます。
瞼板法 (埋没法)
瞼板法とは
瞼板法とは、瞼板軟骨に皮膚からの糸を結びつけて二重を作る方法です。
瞼板とは、まつ毛の内側にある緻密な線維性の結合組織で板状構造をしている大きな皮脂腺の集合体(瞼板腺)です。
そこから、分泌される脂性分泌物は、眼球表面の涙の散流を防ぎ、閉眼時の瞼を密閉する働きがあります。瞼板腺がつまると霰粒腫というシコリができることがありますが、瞼板法で霰粒腫が起こるというのは、あまり聞いたことがありません。

瞼板法で二重まぶたの手術をするとラインがとれやすくなるので、とれにくくするために、様々な工夫がなされています。これは他院でされた症例ですが、
糸の食い込みで、瞼板が深く陥没し、ゆがんでいます。 患者様にわからないからといって、このような手術をすることは、好ましいことではありません。
他院での瞼板法による上まぶたの裏側の状態。 2ヵ所に糸が出ている。

瞼板に出た糸を抜糸。 当院の埋没法で、より広い幅の二重に修整。瞼板及び眼瞼結膜に糸は見えない。

瞼板法のメリットは手術する側にとってのメリットが多く患者様にとっては、あまり好ましい方法ではないと考えています。
メリット
- 手術が早い
- 初心者にも簡単にできる
デメリット
- 二重がとれやすい
- 二重をとれにくくするため糸を強く結ぶことが多く、上まぶたに負担をかけやすい
- 眼球を傷つけるリスクがある
抜糸について
埋没法
抜糸について
埋没法の糸を抜く場合、目を閉じた時に糸の結び目が確認できることが重要なポイントになります。結び目の位置がわからないと、どこに糸が入っているのかわからないため小さな傷で糸を抜くことができなくなります。 その場合は、二重のラインに沿って切開し、組織ごと一緒に切除することになります。

手術中 糸を引っ張って抜いています。

手術当日 埋没法でできた傷の下に抜糸による傷が2カ所あります。糸で縫う必要がないくらいの小さな傷です。

1週間後 抜糸の傷はほとんどわからなくなっています。
抜糸手術方法
糸の結び目のすぐ上に局所麻酔を行ないます。結び目のすぐ上の皮膚を1.5ミリ程切開し、結び目を探し、皮膚表面に引っ張り出します。 結び目のすぐ近くの糸を1本だけ切って結び目を引っ張るとスーッと糸が抜けます。
結び目の位置がわからなくなるケース
- 透明な糸を使用している場合
- 年数が経って青いナイロン糸の色が脱色され透明になってしまった場合
- 溶ける糸を使用している場合
- 瞼板法で行われているように非常に強く結ばれたため結び目が深く入り込んでいる場合




















